こんにちは、ヨーコです。


認知機能は日々の生活の中でとても大切な機能です。


認知機能に関しての記事はこちらを!

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高齢者の脳トレ情報、認知機能とは?




個人差がありますが、年をとるにしたがって視力や聴力と同じように、

認知機能も衰えてきます。



私の70代の母も最近物忘れがひどくなったと頻繁に言っています。

「記憶」の機能の低下でしょうか?


実際は測定して診断してみないと、わからないですよね。

主観的に物忘れがひどくなったと思っていても、

テスト結果では正常の範囲かもしれませんし。

MoCA-J

今回はそういったテストのひとつ、「MoCA-J(日本語版 MoCA)」の項目を解説しながら

テストを紹介したいと思います。

MoCAとは、Montreal Cognitive Assessmentの略です。


MoCAは、認知機能を測定するテストで、

軽度の認知機能の低下のある人ややアルツハイマー病の人と正常の認知機能のある人とを

スコアで区別できると確認されています(Nasreddine at al., 2005)。


MoCA-Jのやり方、採点、カットオフに関する詳しい記事はこちらを!

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認知機能検査、MoCA-J(MoCAの日本語版)の点数




10分足らずの短いテストですが、いろいろなことがわかるんですよ。


認知機能を測定するテストはいろいろです。

MoCAと似ている認知機能のテスト、

MMSE(ミニメンタルステート検査)に関する記事はこちらを!

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認知機能検査、MMSE(ミニメンタルステート検査)の点数や解釈




本格的な注意(認知機能の一つ)を計る、注意のネットワークテストに関する記事はこちら!

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認知機能のテスト、どうやって測る?注意のネットワークテスト編



視空間・実行系

数字とひらがなを順番に結ぶ。

このテストでは、用紙に書かれている数字(1、2、3、4、5)と

ひらがな(あ、い、う、え、お)を1−あー2−いー、というルールで結んでいきます。


このテストでは、頭の中で数字とひらがなの間を柔軟に行ったり来たりするという、

前頭葉に関わる機能を測定します。


脳の構造と機能に関する記事はこちらを!

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脳の構造と機能を知ろう!:高齢者の脳トレ、鍛えたい機能・部位は?




立方体を描く(視空間認知機能)



このテストでは、用紙に書かれている3次元の立方体(算数の時間で描いたような)を

同じように描き移します。


簡単な作業のようですが、

空間認知の頭頂葉と後頭葉等、作業の計画を立てる前頭葉等、様々な機能が必要です。


時計描写



文字盤に全ての数字を書き、11時10分を指した時計を用紙に書きます。


視空間認知と運動制御をコーディネートする頭頂葉と前頭葉等の機能が必要です。

命名



テスト用紙に3頭の動物が描かれていて、その名前を言います。(ライオン、サイ、ラクダ)


通常ですと視知覚機能の後頭葉等の機能です。


記憶

試験者が、今から読み上げる単語を覚えるように被験者に伝えます。

すぐに復唱してもらいますが、テストの最後でもう一度復唱してもらうことも伝えます。

この時点で被験者は幾つ単語を覚えるのか知らされません。

単語は5個で、顔、絹、神社、ユリ、赤です。


まず覚えた単語を復唱します。順番は関係ないです。

これをもう一度繰り返します。(試験者が単語を読み上げ、被験者げ復唱する)。


被験者は緊張しますが、この時の復唱はスコアには関係ないです!

テストの最後まで覚えていられるかどうかをみるテストなのです。

注意

順唱:試験者が「2、1、8、5、4」と読み上げるので、試験者の後に、

繰り返して同じ数字を言う。

逆唱:試験者が「7、4、2」と読み上げます。

被験者は逆の順番から数字を言います(2、4、7)。


順唱では、耳から入った情報を記憶して、復唱するという機能が働いています。

逆唱では、さらに複雑な短期間の「作業記憶」と、前頭前皮質等の機能が関係しています。


刺激に対する準備(alerting)

このテストでは、試験者がひらがなを読み上げている時、

試験者が「あ」と言うたびに手を叩きます。

他のひらがなを読みあげる時には叩いてはいけません。


集中することと、行動の抑止などの機能が働いています。


計算
試験者が合図をするまで、被験者は100から7を順に引いていきます。

(100、93、86、79、72、65)


計算は日々の中でも欠かせない機能です。

前頭葉や頭頂葉等が関係しています。

言語

復唱課題

このテストでは、試験者が文章を読み上げるので、それを正確に繰り返して言います。

「太郎が今日手伝うことしか知りません。」

文章はもう一つあります。

「犬が部屋にいるときは,猫はいつもイスの下にかくれていました。」


複雑な文章を繰り返すには集中力と作業記憶など、前頭葉等の機能とともに

左脳の機能も必要になります。


語想起課題

小難しい課題の名前ですが、なんのことはありません。

「か」で始まる言葉を1分間という制限時間の中でなるべくたくさん言います。


発話の流暢性と、これまた前頭葉等の機能ですね。

抽象概念

このテストでは単語のペアに共通するものを表す言葉を答えます。

例えば、「バナナ」と「ミカン」と試験者が言った場合、被験者は「くだもの」と答えます。


実際ににテストで使われるペアは

「電車」と「自動車」。交通手段、乗り物等が正解です。

「物差し」と「時計」。測るもの等が正解です。


知識(意味)と概念的思考が必要です。前頭葉と頭頂葉等が関係しています。

記憶(本命)

先ほど覚えてもらった単語(5個ありましたね)を覚えているだけ言います。


以前覚えたことを答えるという前頭葉と頭頂葉等の機能です。

場所と時間の認識

最後は、テストを受けていいる日(年、月、日、曜日)とテストを受けている場所を言います。


さて、皆さんは余裕でこのテストをこなせるでしょうか?


実物の検査用紙をチェックしたい方、「MoCA検査用紙」で検索すると出てきますよ。


MoCAの応用

さて、MoCAですが、認知機能を計れるので、

認知機能を必要とする運転能力も計れるのでは?

と思われている方がいたら、鋭いですね。


実際に、MoCAともう一つの認知機能のテスト、MMSEを比較し、

どちらが運転能力に関係しているか、を調べた研究があります。

結果としては、運転路上試験不合格者は両方のテストで低い点数でした。

詳しい記事はこちらを!
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高齢者の運転は危ない?:MoCAやMMSEで適性は計れるか?




MoCAの実施:カナダと日本

実は、以前に健康な高齢者をテストしたことがあります。

その時の感想を書いた記事はこちらを!

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認知機能を計るテスト、MoCA:検査実施者としての感想@カナダ




物忘れがひどくなったという73歳の母をテストしてみました。

採点の解説を含めた記事はこちらを!

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認知機能検査、MoCA-J(MoCAの日本語版)の点数




MoCAは簡単なテストですが、さらに簡単なテストをお探しの方はこちらを!

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Mini-Cog:アルツハイマー病などの認知症のテスト




MoCAは軽度認知症(MCI)のスクリーニングにも適している等報告がありますが、

他にも軽度認知症(MCI)に関してはSLUMSというテストがあります。詳しくはこちらを!

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SLUMS:アルツハイマー病や軽度認知症をテストでスクリーニング



認知機能検査のまとめ記事:種類いろいろ