こんにちは、ヨーコです。


認知機能を計るテストのひとつに

ミニメンタルステート検査(The Mini–Mental State Examination:MMSE)があります。

アルツハイマー病を含んだ認知症の診断用に

1975年にアメリカで開発された質問セットです。


ミニメンタルステート検査とは?

ミニメンタルステート検査(The Mini–Mental State Examination:MMSE)は、

認知機能のテストで、よく認知症の検査で使われます。


診断目的で使われるというより、複数回にわっってテストし、

認知能力の変化やレベルのチェックに使われる方が主な目的です。


ミニメンタルステート検査の長所は、特別な備品や

テストを行うためのトレーニングなどが必要のないことです。

また、テストは5〜10分程度しかかかりません。

なので、場所を選ばずテストすることができます。


また、アルツハイマー病の悪化などを診断するテストとしての妥当性や信頼性があります。

例えば、ミニメンタルステート検査は、30点満点で、

  • 24点以上が正常値(25点という説もある)
  • 19〜23点は軽度認知障害の疑いがある
  • 10〜18点以下は認知症などの認知障害がある可能性が高い
  • 10点以下は重度の認知障害

とされています。


また、アルツハイマー病の人は、毎年平均して2〜3点、点数が下がっていきます。

ミニメンタルステート検査の内容

即時記憶

軽度、中度の認知症の人はまだ正確に答えられます。

重度認知症の人は、記憶に関して特に障害が現れます。

物品呼称(2点)

時計と鉛筆を順に見せて、名称を答えてもらいます。

復唱(1点)

試験者が文章を読み上げるので、それを正確に繰り返して行ってもらいます。

「みんなで力をあわせて綱を引きます。」

記憶(3点)

試験者が言う言葉を繰り返してもらいます。

言葉は3つで、「さくら、ねこ、電車」です。

すぐに復唱してもらいますが、後でもう一度復唱してもらうことも伝えます。

文章構成(1点)

何か文章を書いてもらいます。


認識、遅延再生

認知機能に関係する項目です。

重度の認知症の人は、時間や場所の認識に障害が現れます。

軽度認知症の人は、記憶の項目に障害が現れます。

時間の認識(5点)



以下の質問に答えてもらいます。

  • 今日は何日ですか
  • 今年は何年ですか
  • 今の季節は何ですか
  • 今日は何曜日ですか
  • 今月は何月ですか

場所の認識(5点)

以下の質問に答えてもらいます。

  • ここは都道府県でいうと何ですか
  • ここは何市(*町・村・区など)ですか
  • ここはどこですか

    (* 回答が地名の場合、この施設の名前は何ですか、と質問をかえる。正答は建物名のみ)
  • ここは何階ですか
  • ここは何地方ですか

記憶(3点)

先ほど覚えてもらったことば(3個ありましたね)を言ってもらいます。

作業記憶・ワーキングメモリ

重度認証の人は、計算、口頭指示、文章理解、図形模写の項目に障害が現れます。

図形模写(1点)

この図を模写してもらいます。



文章理解(1点)

書かれている文章を読んで実行してもらいます。

「目を閉じなさい」  

計算(5点)

100から7を順に引いていきます(5回)。

口頭指示(3点)

試験者の言う3つのことを実行してもらいます。

  • 「右手にこの紙を持ってください」
  • 「それを半分に折りたたんでください」
  • 「机の上に置いてください」

認知症と脳卒中の研究の中でミニメンタルステート検査が使われている例はこちらを!

↓↓↓↓

認知症がある脳卒中患者のリハビリの効果は?




参考文献:
Shigemori K, Ohgi S, Okuyama E, Shimura T, Schneider E.
The factorial structure of the mini mental state examination (MMSE)
in Japanese dementia patients. BMC geriatrics. 2010 Jun 9;10(1):36.

ミニメンタルステート検査の短所

ミニメンタルステート検査の短所は、年齢や学歴に点数が影響されるというところです。


学歴や年齢、さらには性別や住居の影響に関する記事はこちらを!

↓↓↓↓

MMSE・ミニメンタルステート検査:年齢、学歴、性別、住居の影響




また、軽度の認知障害を特定することが難しいとされています。


軽度認知障害のスクリーニングにおいて注目されている

MoCA、SLUMS、AD8など関する記事はこちらを!

↓↓↓↓

認知機能を計るテスト、MoCA-Jの解釈(MoCAの日本語版)

SLUMS:アルツハイマー病や軽度認知症をテストでスクリーニング

AD8:介護人を面接するアルツハイマー病などの認知症のテスト





さらに、このテストはMoCAと違って

思考能力や状況判断能力などの実行機能に関する質問がありません。

ミニメンタルステート検査の応用

さて、MMSEですが、認知機能を計れるので、

認知機能を必要とする運転能力も計れるのでは?

と思われている方がいたら、鋭いですね。


実際に、MMSEともう一つの認知機能のテスト、MoCAを比較し、

どちらが運転能力に関係しているか、を調べた研究があります。

結果としては、運転路上試験不合格者は両方のテストで低い点数でした。

詳しい記事はこちらを!
↓↓↓↓

高齢者の運転は危ない?:MoCAやMMSEで適性は計れるか?



認知機能テスト・スクリーニングのまとめ記事