こんにちは、ヨーコです。


高齢化が進む中、高齢に伴う疾患に注目が集まってきます。

高齢に伴う疾患というと、脳卒中と認知症ですね。


厚生労働省が発表した2015年のデータによると、

脳卒中の死亡率はガン、心臓疾患、肺炎に続く第4位でした。


同じく厚生労働省の2013年のデータによると、

脳卒中(18.5%)と認知症(15.8%)は要介護となる原因のトップ2なっています。



脳卒中はすでに認知症を発症した人の健康状態を悪化し、

その逆に、認知症はすでに脳卒中を発症した人の健康状態を悪化します。


脳卒中前と後に認知症を発症する人の割合や、

それぞれのリスク要因に関する詳しい記事はこちらを!

↓↓↓↓

脳卒中の後遺症・前触れとしての認知症〜リスク要因




さて、ここで問題になってくるのが、

すでに認知症を発症している高齢者が脳卒中になった場合

リハビリは効果があるのか、ということです。


この質問に答えるためにイスラエルの研究者が

研究を行い最近結果を発表しました。


参考文献:
Mizrahi EH, Arad M, Adunsky A. Pre‐stroke dementia does not affect the post‐acute care functional outcome of old patients with ischemic stroke. Geriatrics & gerontology international. 2015 Sep 1.


今回はこの研究を紹介したいと思います。

研究参加者、研究の方法

参加者:

脳梗塞で入院し、リハビリテーションを始めた患者919人(60歳〜96歳)。

このうち、脳梗塞になる前に認知症を発症していた人が、106人いました(11.5%)。


このリハビリテーションでは、外科医、看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、

ソーシャルワーカー、心理学者が2週間に1度、患者の治療に関して話し合い、

回復を確認します。


患者は平均すると一週間に6時間の理学療法とさらに6時間の作業療法リハビリテーション、

言語療法、ソーシャル・心理的リハビリテーションを行います。



そして、この研究では2つのグループを比べています。

脳梗塞+認知症グループ(脳梗塞の前に認知症を発症していた人たち)(106人)

脳梗塞グループ(脳梗塞で入院したけれど、認知症のない人たち)(813人)


認知能力は、MMSE (Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)で測定、

日常生活動作は、

FIM (Functional Independence Measure:機能的自立度評価法)で測定しています。

FIMには、運動項目と認知項目があって、それぞれの項目の点数とその合計点で

日常生活を送る基本的な動作などについての評価を行います。


つまり、FIMで、リハビリテーションの効果があるかどうかを調べようということですね。


ミニメンタルステート検査に関する詳しい記事はこちらを!
↓↓↓↓

認知機能を計るテスト、MMSEの解釈:ミニメンタルステート検査




結果:認知症ありの脳梗塞患者 vs. 認知症なしの脳梗塞患者

認知症ありの脳梗塞患者は、認知症なしの脳梗塞患者に比べて:

  • 高齢
  • 女性が多い
  • 入院期間が短い
  • パーキンソン病がある
  • MMSEの点数が低い(認知能力)

そして気になるFIMですが:

FIMのテストは、入院した時と退院した時に行われました。

その間にリハビリテーションが行われたということですね。


入院した時と退院した時、どちらの時も

脳梗塞グループの方が、

脳梗塞+認知症グループよりFIMの総合得点と運動項目の得点が良かったです。


総合得点の80点以上をFIMの「効果あり」としたとき、その効果を予想できたのは

入院前の認知症がないこと、でした。

まとめ

脳梗塞に関しては、脳梗塞発症以前の認知症があると

入院時、リハビリテーション後の退院時の「日常生活を送る基本的な動作」の評価が

脳梗塞だけの人に比べて悪いという結果が出ました。


しかし、日々のFIMの運動項目の関してはの効果は、

脳梗塞グループの方と脳梗塞+認知症グループとも変わりがないという結果でした。


つまり、認知症のある脳梗塞の人でもリハビリの効果がある、ということです。


認知症があるからといって、脳梗塞のリハビリテーションを

諦めてはいけない、というのがこの研究をした人たちの結論です。


脳卒中と認知症のまとめ記事