こんにちは、ヨーコです。


先日Cさんというかたからメールをいただきました。

Cさんの89歳になるご家族は、認知症、そして脳卒中を経験されています。


Cさんのお問い合わせに関する記事はこちらを

↓↓↓↓

神経細胞の再生、認知症や脳卒中発症後も可能?〜お問い合わせから




高齢は、認知症や脳卒中のリスク要因。

高齢化が進む今、認知症も脳卒中も馴染みのある病名だと思います。


でも、認知症になって、脳卒中にもなる。

または、脳卒中になって、認知症にもなる場合があることをご存知ですか?


まずは個別にそれぞれの病気の種類を簡単に見てみましょう。


認知症の種類

  • アルツハイマー型認知症(Alzheimers disease, AD):

    50〜70%の認知症がアルツハイマー病型です。

    脳の脳細部が壊され、その結果として脳の機能に障害が起きます。

  • 脳血管性認知症(Vascular dementia, VaD):

    アルツハイマー型の認知症に次いで多いのが脳血管性認知症です。

    全体の約20%を占めます。

    脳卒中により脳への血液の供給が減ってしまうために、脳の機能に障害が起きます。

  • レビー小体型認知症(Dementia with Lewy bodies, DLB):

    全体の約15%を占めます。レビー小体という異常な脳細胞が原因で起きます。

  • パーキンソン病(Parkinsons disease, PD):

    パーキンソン病は脳神経系の病気で、認知症の約5%がパーキンソン病によるものです。

  • 前頭側頭型認知症(FTD)

    前頭葉や側頭葉にたんぱく質がたまった結果、脳の機能に障害が起きます。

    認知症の約5%を占めます。

脳卒中の種類



脳卒中は、脳の血管に障害が起きることで生じる疾患の総称で、

脳の血管がつまる「脳梗塞(のうこうそく)」と、

脳の血管が破れて出血する「脳出血」「くも膜下出血」に分けられます。


脳出血と脳梗塞の違いについての詳しい記事はこちらを!

↓↓↓↓

男性に多い脳卒中、脳出血と脳梗塞の違いは?:年齢別、回復の違い




認知症と脳卒中、全く違う病気なのですが、

脳に障害が起き、認知機能に障害が起こる点では共通しています。


今回は、脳卒中と認知症の関係を、脳卒中前と後の認知症に関わるリスク要因に焦点を当てた

メタアナリシスを紹介したいと思います。


参考文献:
Pendlebury ST, Rothwell PM. Prevalence, incidence, and factors associated with pre-stroke and post-stroke dementia: a systematic review and meta-analysis. The Lancet Neurology. 2009 Nov 30;8(11):1006-18.


メタアナリシスとは、同じテーマを扱った複数の研究を統計解析することです。

メタ分析、メタ解析とも言いますね。


システマティックレビューと同様、一つ一つの研究をデータとして扱うのですが、

システマティックレビューよりちょっと格上なのは、

データを数字として扱かい、統計解析して数字でまとめることができるからです。


メタアナリシス

このメタアナリシスでは、1950年から2009年の間に発表された

脳卒中の患者に関する論文、73本を分析しています。


このメタアナリシスの中では、脳卒中前と後の認知症発症のリスク要因、

つまり、どんな要因がそれぞれの認知症を予期できるかを調べています。


では、結果を見てみましょう。

脳卒中前の認知症のリスク要因

  • 高齢
  • 女性
  • 低学歴
  • 家族の中に認知症の人がいる
  • 糖尿病
  • 心房(性)細動(不整脈の一種)
  • 虚血性発作
  • 高血圧
  • 脳卒中歴あり
  • 多発性梗塞
  • 内側側頭葉縮症

脳卒中後の認知症のリスク要因

  • 高齢
  • 女性
  • 低学歴
  • 黒人やヒスパニック(白人と比べて)
  • 糖尿病
  • 心房(性)細動(不整脈の一種)
  • 低酸素虚血性脳障害
  • 不全失語症
  • 左大脳半球の脳卒中
  • 脳卒中歴あり
  • 多発性梗塞
  • 再発性脳卒中
  • 脳卒中に伴う合併症
  • 脳卒中前の認知能力の低下
  • 内側側頭葉の萎縮

まとめ

  • 脳卒中の患者のうち約10%は、最初の脳卒中の前に認知症を発症していました。

  • 脳卒中の患者のうち約10%は、最初の脳卒中の後に認知症を発症しました。

    • 再発した後は、30%と高くなります。

  • 脳卒中が再発した患者脳のうち、約1/3は認知症を発症しました。

  • 脳卒中前の認知症のリスク要因は、アルツハイマー病のそれと酷似しています。

  • 脳卒中後の認知症の発症(脳血管性認知症)は、脳卒中の内容に影響されています

  • 脳卒中後に発症する認知症の進行は遅いです。


    脳卒中と認知症のまとめ記事