こんにちは、ヨーコです。


最近ニュースでも高齢者の自動車事故が多いような気がします。


高齢者だからと言ってキケンなドライバーと一概には言えませんが

歳をとるに従って運転に必要な認知能力が低下してくるのも事実です。



高齢者と運転事故に関する記事はこちらを!

↓↓↓↓

高齢者の運転は危ない?:安全運転に必要な認知機能とは?




運転能力を判断する認知能力テストそのものはないですが、

医療に関わる人たちが使っているテストに

MoCA(Montreal Cognitive Assessment)と

ミニメンタルステート検査(The Mini–Mental State Examination:MMSE)があります。


MoCAに関する詳しい記事はこちらを!

↓↓↓↓

認知機能を計るテスト、MoCA-Jの解釈(MoCAの日本語版)




MMSEに関する詳しい記事はこちらを!

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認知機能を計るテスト、MMSEの解釈:ミニメンタルステート検査




この2つのテストが実際に運転能力に関して信頼できる評価ができるかどうかを

アメリカの研究者が調べて発表しています。


参考文献:
Hollis AM, Duncanson H, Kapust LR, Xi PM, O’connor MG. Validity of the Mini‐Mental State Examination and the Montreal Cognitive Assessment in the Prediction of Driving Test Outcome. Journal of the American Geriatrics Society. 2015 May 1;63(5):988-92.



今回はこの研究を紹介したいと思います。

研究対象者・研究の方法

参加者は、病院で行われた運転能力評価のプログラムに参加した92人。

男性は49人(49%)女性は43人(51%)参加しました。


92人の内訳:

  • 軽度認知症、初期のアルツハイマー病、
    パーキンソン病のためにこのプログラムに紹介された人43人:(47%)
  • 脳卒中や筋骨格障害のために紹介された人:26人(28%)
  • 家族が運転の心配をしているので参加した人(認知症なし):14人(15%)
  • 高齢のため紹介された人:9人(10%)

参加者の平均年齢は74.6歳でした。


参加者は全員、MoCAとMMSEを受けていますね。

そして、1時間の路上テストを受けてもらいました。

2人の試験官が同乗し、合格か不合格かを決めています。


比較したこと

1. 路上テストの合格者と不合格者の年齢、学歴、MoCAとMMSEの点数

2. 認知障害のある人ない人の年齢、学歴、MoCAとMMSEの点数


どのように認知障害を定義したかが論文にははっきり書いてありませんが、

おそらくMMSEの点数で決めたと思います。



分析したこと

3. 認知障害のある人ない人のそれぞれのグループで、MoCAとMMSEの点数が

どのように路上テストの合否に関係していたか(どちらの点数が合否を予想できたか?)?

結果

  1. 路上テストの合格者(59人)と不合格者(29人)の間に、

    年齢や学歴の違いはありませんでした。

    MoCAとMMSEの点数には違いが見られ、不合格者の方が両方とも低い点数でした。

  2. 認知障害のある人(48人)とない人(47人)の間に、

    年齢や学歴の違いはありませんでした。

    MoCAとMMSEの点数には違いが見られ、認知障害のある人の方が両方とも低い点数でした。


    これは予想した結果ですよね。

  3. 認知障害のある人たち:

    MMSEよりMoCAの点数が、路上テストの合否に関係していました。

    つまり、MoCAの点数が低いと、路上テストが不合格というパターンです。


    認知障害のない人たち:

    MoCAとMMSEのどちらも、路上テストの合否には関係なかったようです。


まとめ

すでに認知障害を診断されている場合、

特にMoCAが、運転能力の判断材料になりました。


また、MoCAで18点以下が運転不適切のカットオフ値なりえるけれど、

それでも、12.5%の人は18点未満でも路上運転を合格しているので

評価には注意が必要ということです。


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