こんにちは、ヨーコです。
夏型過敏性肺炎は1973年に報告されたかなり最近の病気です。
日本以外ではあまり報告されていません。
珍しい日本以外の報告、韓国での発生例に関する記事はこちらを!
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特徴
- 自宅にいるときに症状がある
- 夏に発生する
- 家庭内発生する
もう、「耳にたこ」かもしれませんが:
自宅にいるときに症状があるというのは、
夏型過敏性肺炎の原因が、住宅に繁殖するカビ、トリコスポロンだからですね。
夏(5〜10月)の発生率が多いというのは、病原のトリコスポロンが
高温(25〜28度)高湿(80度)を好むからです。
家庭内発生するのは、住居に繁殖しているトリコスポロンが同居人に影響するからですね。
家庭内発生に関する記事はこちらをどうぞ!↓↓↓↓
疫学
2回にわたる全国調査の結果をもとにしています。
- 過敏性肺炎の中で夏型過敏性肺炎の割合は74%
- 女性の発生率は、男性の2倍
- 発生は5月から10月、7月が一番多い。(夏の発生率38%)
- 家族内発生24%
- 分布は、北は秋田県、岩手県、南は沖縄までが発生している
2000年の報告による月別、県別発生状況に関する記事はこちらを!
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参考文献:
Ando M, Arima K, Yoneda R, Tamura M.
Japanese summertype hypersensitivity pneumonitis. Geographic distribution,
home environment, and clinical characteristics of 621 cases.
Am Rev Respir Dis. 144 : 765-769, 1991.
Ando M, Suga M, Nishiura Y, Miyajima M.
Summer-type hypersensitivity pneumonitis. Intern Med. 34 : 707-712, 1995.
病原のトリコスポロンの居場所
- 天井
- 風呂場の木の窓枠
- 脱衣所の床
これらは、腐った状態で、トリコスポロンが繁殖しやすいということですね。
天井の場合は、雨漏りのため、
風呂場や脱衣所は、水回りなのでもともと腐りやすいですね。
トリコスポロンの居場所に関する詳しい記事はこちらを!
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症状
トリコスポロンを吸い込んでから早くて数時間、遅くても数週間後に症状が出ます。
- 咳
- タン
- 発熱 (37〜39度)
- 呼吸困難(動いている間の)
慢性になると、発熱は微熱程度ですが、動いているときの呼吸困難の頻度が多くなります。
診断基準
過敏性肺炎の診断基準です。
臨床像 | 臨床症状・所見 1)~ 4)のうちいずれか 2 つ以上と、 検査所見 1)~ 4)のうち 1)を 含む 2 つ以上の両者を同時に満足するもの 1. 臨床症状・所見 1)咳、2)呼吸困難、3)発熱、4)捻髪音ないし小水泡性ラ音 2. 検査所見 1)胸部 X 線像にてびまん性散布性粒状影(またはスリガラス状陰影) 2)拘束性換気機能障害 3)血沈値亢進、好中球増多、CRP 陽性のいずれか 1 つ 4)低酸素血症(安静時あるいは運動後) |
発症環境 | 1)~ 6)のうちいずれか 1 つを満足するもの 1)夏型過敏性肺炎は夏期(5 – 9 月)に、高温多湿の住宅で起こる 2)鳥関連過敏性肺炎は鳥の飼育や羽毛と関連して起こる 3)農夫肺はかびた枯れ草の取り扱いと関連して起こる 4)空調病、加湿器肺はこれらの機器の使用と関連して起こる 5)有機塵埃抗原に曝露される環境での生活歴 6)特定の化学物質と関連して起こる 註:症状は抗原曝露 4 – 8 時間で起こることが多く、環境から離れると自然に 軽快する。 |
免疫学的所見 | 1)~ 3)のうちいずれか 1 つを満足するもの 1)抗原に対する特異抗体陽性(血清あるいは BALF 中) 2)特異抗原によるリンパ球幼弱化試験(末梢血あるいは BAL リンパ球) 3)BAL 所見(リンパ球増加、T リンパ球増加)* |
吸入誘発 | 1)~ 2)のうちいずれか 1 つを満足するもの 1)特異抗原吸入による臨床像の再現 2)環境曝露による臨床像の再現 |
病理学的所見 | 1)- 3)のうちいずれか 2 つ以上を満足するもの 1)肉芽腫形成、2)胞隔炎、3)Masson 体 |
診断基準 | 確実:A, B, DまたはA, B, C, Eを満たす 強い疑い:A を含む 3 項目を満たす 疑い:A を含む 2 項目を満たす |
* 一般的にリンパ球比率は 35%を超える。抗原回避 2 日以内では好中球増多を示す。
「抗原に対する特異抗体陽性(血清あるいは BALF 中)」に関しては、
抗トリコスポロン・アサヒ抗体が陽性の検査結果が出た場合は、
「抗原に対する特異抗体陽性」を満たすため、吸入誘発試験なしで、
臨床像、発症環境、病理学的所見とあわせてと診断できます。
参考文献:
Miyazaki Y, Yoshizawa Y, Yamaguchi T. Summer-type
Hypersensitivity Pneumonitis. Jaypee Brothers Medical
Publishers ; 2013.
治療
一にも二にも、病原のトリコスポロンの駆除。
そのために、住居内の腐った木、寝具、畳、カーペット等を新しくすることも考えましょう。
最悪の場合は引越しという選択肢も。
カビの駆除、掃除に関する詳しい記事はこちらを!
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症状が重い時はステレイド薬を服用する必要がありますが、
一番大切なのは、病原のカビの駆除です!!