こんにちは、ヨーコです。
先日フレイルの診断に用いられるテストの一つに
パーデューペグボードテスト(Purdue Pegboard Test)があることを紹介しました。
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パーデューペグボードテストとは
もともとは、1940年代に職業適性テスト、つまり
手、指、腕の動きを伴う巧緻性の評価するテストとして開発されました。
今でも北米では職業適性検査の17位という地位を獲得しています。
そのほかにも、脳に受けた障害の場所の把握をサポートする
神経心理学的評価をする際にも使用されるようになりました。
動作を調べるということは、神経心理学的検査でも重要な位置を占めます。
実際に、脳の障害とペグボードテストの関係に関して以下のことがレポートされています。
- 神経心理学的検査では異常はないが、
大脳の白質高信号域(WMH)がMRIで確認された人は
アッセンブリーテストでの得点がWMHが確認されない人より低い - パーキンソン病、小脳疾患、ハンチントン病、統合失調症、
進行性核上まひの患者もスコアが低い - 右手、左手、両手でのピンの差し込みテストによって
脳に受けた障害の有無、障害の位置を予測出る(右左)
検査の仕方
実際のペグボードは、こんな感じに25個の穴が縦に2列配置されています。(↓↓↓↓)
受け皿が4つあってそれぞれに何かが入っているのが見えるでしょうか?
一番右と一番左の皿には、それぞれピン(peg)が25個ずつ入っています。
残りの皿には、ワッシャとカラーが入っています。
右利きの人は左から2番目の皿に40個のワッシャが、
右から2番目の皿に20個のカラーが入ります。
左利きの人用には、ワッシャとカラーの位置を入れ替えます。
最初の3つの検査はピンを使ったテストです。
最後のテストは、ピン、ワッシャ、そしてカラーを全て使ったテストになります。
検査1
右手使って30秒の間にできるだけ多くのピンを、右の皿から取って、
右側にある穴に上から順に差し込みます。
左手が利き手の人は左から始めます。ピンを左の皿から取っては左側にある穴に差し込みます。
まずは練習からです。練習は被験者に3〜4個ピンを差し込んでもらいます。
そのあと本番に入ります。
検査2
同じことを先ほどとは違う手を使って練習、そして本番をします。
ピンの皿の位置、穴の位置も検査1とは逆ですね。
検査3
ここでは両手を使います。
検査1と検査2とほとんど同じですが、今度は両手を使ってピンを差し込見ます。
右手で右の皿のピンを取り、右の穴に差し込みます。
それと同時に左手で左の皿のピンを取り、左の穴に差し込みます。
検査4
この検査はアッセンブリー(Assembly)と呼ばれ、
時間は1分と他の検査に比べると倍の時間が与えられます。
右利きの人は右の皿にあるピンを右手で取り、右の穴に差し込みます。
それと同時に左の手は左から2番目の皿からワッシャを取り、
ピンが差し込まれた所にワッシャをかぶせます。
それと同時に(!)右手で右から2番目にある皿からカラーを取り、
ワッシャがかぶせられた所にカラーをのせます。
それと同時に(!)再び左手でワッシャを取り、カラーをのせた所へワッシャをかぶせます。
一組目の、ピン、ワッシャー、カラー、ワッシャーの4つのパーツのアッセンブリーができたら
次のアッセンブリーへと進みます。
片手が止まっているようでしたら、声をかけて両手が動いているようにします。
左利きの人は、左の穴でアッセンブリーを作っていくのですが、
ワッシャとカラーの皿の位置が右利きの一とは逆に配置しておきます。
練習は省いてますが、デモの動画(英語)がありますので、参考にどうぞ! ↓↓↓↓
スコアのつけ方
- 右手:差し込まれたピンの数
- 左手:差し込まれたピンの数
- 両手:差し込まれたピンのペア(左右が揃ってペアです)の数
- 右手+左手+両手:上記の数を全て足した数
- アッセンブリー:完成したアッセンブリーの数 または、使用されたピン、ワッシャ、カラーの数
標準値
カットオフスコアとかはないようですが、いろいろ論文でスコアが発表されています。
健康な高齢者のスコアを参考にどうぞ。↓↓↓↓
男性
50−50歳 | 60−69歳 | 70歳以上 | |
利き手 | 14.7 | 14.2 | 11.4 |
逆利き手 | 14.4 | 13.6 | 10.9 |
両手 | 12.1 | 10.1 | 8.4 |
アッセンブリー | 30.6 | 27.2 | 21.9 |
女性
50−50歳 | 60−69歳 | 70歳以上 | |
利き手 | 14.5 | 14.4 | 13.2 |
逆利き手 | 14.0 | 13.6 | 12.6 |
両手 | 11.3 | 11.1 | 9.4 |
アッセンブリー | 28.3 | 28.2 | 24.9 |
年齢、性別等の影響
年齢
子供の時は年齢が上がるにつれて、早く課題がこなせるようになりますが
高齢になってくると逆に遅くなります。
性別
女性の方が早く課題をこなせるようですが、
性別の違いというより、手や指のサイズの違いによる所があるという意見もあります。
学歴
課題をこなすスピードに学歴は関係ないようです。
利き手
利き手を使った時の方が早く課題をこなせるようです。
人種・社会経済的地位
人種・社会経済的地位も関係ないようです。
参考文献:
Instrument L. Purdue pegboard test: user instructions. Lafayette, IN: Lafayette Instrument. 2002.
Rabin, L. A., Barr, W. B., & Burton, L. A. (2005). Assessment practices of clinical neuropsychologists in the United States and Canada: A survey of INS, NAN, and APA Division 40 members. Archives of Clinical Neuropsychology, 20(1), 33-65.
Spreen O, Strauss E. A compendium of neuropsychological tests. 1998. NY: Oxford University Press Google Scholar.