こんにちは、ヨーコです。
フレイルとは、加齢の中で起こる、一種の健康状態のことを言います。
フレイルになると、体の様々なシステムが徐々にその機能を失っていきます。
65歳以上の高齢者の約10%、
85歳以上になると、フレイル状態の高齢者は25%〜50%にも上ると言われます。
ここが重要なのですが、早く適切な介入をすれば元に戻る可能性があるということです。
フレイルとは
日本ではあまり馴染みがありませんが、海外の老年医学の分野ではフレイル、
つまりFrailtyは盛んに研究されています。
Frailtyを訳してみると、「虚弱」や「老衰」、「脆弱」となりますが、
この日本語訳だと、
回復可能なニュアンスに欠けるので、あえてカタカナでフレイルとしたようです。
聞き慣れたいのも当然で、一般社団法人日本老年医学会が
frailtyの訳語として「フレイル」を提唱したのが2014年5月、まだ最近のことです。
フレイルの定義
フレイルとは、加齢に伴う生理的予備能力の低下によって、
ストレスに対する脆弱性の増加が認識された状態をさします。
そのため、日々の活動能力が損なわれ、
要介護状態、死亡などの転機に陥りやすくなります。(Xue, 2011)
フレイル状態にある高齢者は、
何かに感染した、薬を変えた、手術をした、事故をしたとかというような
健康だったら乗り切れるような外的ストレスをきっかけに
心身の活力(運動機能や認知機能等)が著しく低下してしまいます。
そして、以前の健康状態に戻ることは困難、そして回復にも時間がかかります。
出展(英語のオリジナル): Clegg A, Young J, Iliffe S, Rikkert MO, Rockwood K. Frailty in elderly people. The Lancet. 2013 Mar 2;381(9868):752-62.
外的ストレスに弱い状態になっていて
病気にかかりやすかったり、すぐ入院してしまったりします。
例えば、風邪をこじらせて肺炎になったり、転倒して骨折したり、です。
フレイルの臨床像〜フレイルになるとどうなるの?
以下に、フレイルの臨床像としてあげられる主なものをあげてみました。↓↓↓↓
非特異性:極度な疲れ、体重の減少、頻繁な感染症があります。
転倒:バランスや歩行障害はフレイルの主な特徴で、転倒のリスク要因です。
転倒といっても、軽度の疾患により
歩行障害に関わるバランスが低下することによって起こる場合もあります。
もっと心配な転倒は、容易な環境にもかかわらず
視力、バランス、体力などの必要不可欠な姿勢制御システムによる
安全なナビゲーションが行われなくなって起こる場合です。
このタイプの転倒は、繰り返し起こることが多く、
心理的恐怖、また転ぶかもしれないという気持ちが深く関係しています。
そしてこの心理的恐怖が高齢者の可動性を著しく低下させてしまうのです。
せん妄:せん妄(急性錯乱ともいう)は、流動的な混乱が急激に発生することと
自分のいる場所がわからなくなるということなどに特徴付けられます。
せん妄は脳の機能の低下に関連し、健康に有害な結果をもたらします。
病院に入院した高齢者の30%はせん妄を発症します。
環境の変化についていけないのですね。
また、長期ケアの患者におけるせん妄の発生率は15%とされます。
変動的な身体障害:
変動的な身体障害、つまり日々おける身体的不安定な状態を言います。
自分でなんでもできる調子の良い日もあれば、
専門家のケアにお世話にならなくてはならない日もあります。
参考文献:
http://www.bgs.org.uk/frailty-explained/resources/campaigns/fit-for-frailty/frailty-what-is-it
Clegg A, Young J, Iliffe S, Rikkert MO, Rockwood K. Frailty in elderly people. The Lancet. 2013 Mar 2;381(9868):752-62.
Xue QL. The frailty syndrome: definition and natural history. Clinics in geriatric medicine. 2011 Feb 1;27(1):1-5.