こんにちは、ヨーコです。
私はカナダに住んでいるのですが、スカイプのおかげで
ほとんど毎日と言っていいくらい日本に住んでいる母と話をしています。
母は74歳、父は82歳。
母は、健康オタクで、話も自然と健康に関したことになります。
食べ物のこと、運動のこと、色々実践していて、感心してしまいます。
が、その母も「フレイル」のことは知りませんでした。
フレイルとは
フレイルとは、英語の「Frailty」からきているのですが、
日本語的には「虚弱」や「老衰」、「脆弱」となります。
日本語で言われると、「ああ、なるほど」と思われるかもしれませんね。
さらに付け加えると、フレイルに影響される次の(できるなら避けたい)段階が
「寝たりき・要介護状態」、「認知症」、「転倒骨折」、
「施設入所・入院」、「死亡」等になります。
寝たきり、認知症、死亡等、インパクトのある状態に比べ
確かに「フレイル」は優しい響きと相まって、
十分に危機感を持って理解されてないような気がします。
フレイルに関するくわしい定義はこちらの記事で!
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身体的特徴から、フレイルを特定する:表現型モデル
フレイルにも、身体的フレイル、心理的フレイル、そして社会的フレイルとありますが
2001年に発表された、Fried教授のグループの研究では
身体的フレイルに焦点を当てています。
学術的に言うと、「表現型モデル(Phenotype Model)」と言います。
この研究では、65歳以上の5317人の男女が研究対象になっています。
参考文献:
Fried LP, Tangen CM, Walston J, Newman AB, Hirsch C, Gottdiener J, Seeman T, Tracy R, Kop WJ, Burke G, McBurnie MA. Frailty in older adults: evidence for a phenotype. The Journals of Gerontology Series A: Biological Sciences and Medical Sciences. 2001 Mar 1;56(3):M146-57.
身体的特徴に基づく、フレイルの定義
この研究では、下記の3項目に該当すると、フレイル、
1または2項目が該当すると、プレフレイルと定義されています。
- 体重減少: 6か月で、4.5kg以上の体重減少
- 筋力低下 握力:20%(性別、BMIを考慮)
- 疲労感:(自己申告)疲れたような
- 歩行速度:(4.6メートル歩行した時)下位20%(性別、身長を考慮)
- 身体活動: 下位20%(性別を考慮)
- 383カロリー/週(男性)
- 270カロリー/週(女性)
ご覧の通り、項目は全て身体的能力に関しです。
研究結果
参加対象の中で、フレイルだった人は、6.9%。
その割合は、女性の方が多く、また年齢が上がるにつれて多くなりました。
低学歴、低収入、不健康、複数の慢性疾患がある等が、フレイルに関係していました。
またフレイルの人は後日、転倒、可動性の低下、入院、死亡等の可能性が
フレイルでない人に比べて、高かったと報告されています。
J-CHS:日本版のフレイルの定義
上記の定義で作成されたフレイルの評価法は、外国人を対象とした研究に基づくものでした。
そこで佐竹教授のチームが日本版の評価法を作成してくれました。
ここでも、下記の3項目が該当すると、フレイル。
1または2項目が該当すると、プレフレイルと定義されています。
- 体重減少:6か月で、2~3kg以上体重減少
- 筋力低下 握力:男性<26kg、女性<18kg
- 疲労感: (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
- 歩行速度: 通常歩行速度<1.0m/秒
- 身体活動:
- 1 軽い運動・体操をしていますか?
- 2 定期的な運動・スポーツをしていますか?
- 上記2つ いずれも「していない」と回答
参考文献:
佐竹昭介:長寿医療研究開発費 平成 27 年度総括研究 報告:フレイルの進行に関わる要因に関する研究(25 – 11).2016.
まとめ
最近では、心理的フレイルや社会的フレイルについても研究されていますが、
J-CHSなどの身体的能力に基づいたフレイルの定義は、身体的フレイルに関していますね。
ただ、定義の中の項目は、もともとフレイルを調べるためにあったのではありません。
フレイルを定義する目的として、便利だったということです。
面白いな、と思ったことは歩行速度に関してです。
歩行速度が、将来の認知機能を予測することができるという研究もあります。
母の歩行速度は問題ないのですが、父の歩行速度が気になります。
散歩でも勧めてみようかな、と考えています。(独り言)