こんにちは、ヨーコです。


私の住むカナダでも、そして日本でも運転中の携帯電話の使用は法律で禁止されていますが、

ハンズフリー(携帯)に対しては法律が徹底されていません。


運転中にハンズフリーで会話をする方が

手に持つタイプで会話するよりも危険かもしれないというレビュー報告もあるのに、

未だにハンズフリーが安全という認識が浸透しているのは非常に残念というより危険なことです。


ハンズフリーがもっと危ないかもしれないという記事はこちらをどうぞ!

↓↓↓↓

運転中の携帯電話使用が危ない本当の理由:ハンズフリーもダメ!




運転中に携帯で会話をすると何が起こる?

さて、携帯のタイプにかかわらず運転中に会話をすることが危険な理由は、

運転に使われるべき、「注意」という認知機能の割り当てが、少なくなってしまうからです。

残りの割り当ては、会話の方に使われてしまっています。


その結果、前を走っている車のブレーキに気がつかず追突してしまったり、

信号が変わったのに気づかず、信号無視をしてしまったり、

急に飛び出してきた人に気づくのが遅れ、事故を起こしてしまったり。

テストをしましょう!

でも、なんで車の運転に影響がでしまうのか、と疑問に思われる人もいるのでは。


では、ちょっとここでテストをしてみませんか?

有名なテストなので知っている人はパスしてもらってもオッケーです。


英語で指示が書いてありますが、何をするのかと言いますと

動画の中で白のTシャツを着た人たちが何回バスケットボールをパスしているかを数えます。

では、どうぞ!

↓↓↓↓




動画を最後まで見た方は私が次に何を言いたいのか、わかってしまったかもしれませんね。

とりあえず、ボールのパスの正解は15回です。


でも、動画の本当の目的は、パスを数えることに集中していると

「ゴリラ」が画面を横切っても気づかない、ということを伝えることです。


今ここで初めて動画の趣旨がわかった方は、もう一度動画を見てみると

「ああ、なるほど」と思われることでしょう。


これは、認知心理学の用語では「非注意性盲目」というのですが、

注意を払っていないと、目を開けていても盲目状態になってしまうということです。


ちなみに、私が初めてこの動画を心理学のクラスで見た時、全くゴリラには気づきませんでした!

運転中に非注意性盲目



ここでまた、運転中の携帯の使用に関する研究の権威、Strayer博士が、

運転中に携帯で話しをしていると「非注意性盲目」状態になってしまう、

ということを証明しています。


参考文献:
Strayer DL, Drews FA, Johnston WA. Cell phone-induced failures of visual attention during simulated driving. Journal of experimental psychology: Applied. 2003 Mar;9(1):23.



この研究の中では20人のユタ大学に通う学生をテストしています。

参加者は、シュミレーターの郊外の設定で、約2キロの区間を6回運転します。


そのうち3回は、運転だけ。あとの3回はハンズフリーで会話をしながら運転します。


普通に交通ルールに従って運転する、が課題です。



出典:Strayer & Drew (2004)


で、実験の最後に、サプライズの本命テストをするわけです。

ここでは、参加者に45枚の広告掲示板を見てもらいます。

  • 15枚は、運転のみのシュミレーション時に表示された広告掲示板
  • 15枚は、運転と携帯での会話のシュミレーション時に表示された広告掲示板
  • 15枚は、シュミレーション内では一度も表示されていない広告掲示板

です。


それぞれの広告掲示板に対し、シュミレーション中に見たか見なかったかを答えてもらいます。


結果(それぞれ15点が満点):

運転のみで表示されれた掲示板に対する「見た」という答え:6.9

運転と携帯での会話で表示された掲示板に対する「見た」という答え:3.9

表示されなかった掲示板に対する「見た」という答え:0.9


なんと、携帯で話しをしていると、運転中に見ているはずの広告掲示板を

運転だけしている時に比べ半分近くミスってしまうという結果です。


注:運転のみの時にも、正解率が低いのは、

広告掲示板についてあとでテストすることは伏せてあったからです。


ここで鋭い人は、「見たけど忘れたんじゃなくて、見ていないから見たと言えないのでは?」

という疑問を持つかもしれません。


実は、この実験中にアイトラッカーといって、目の動きをモニターする装置を

参加者につけてもらっています。


広告掲示板については何も指示していなかったにもかかわらず、

約65%の確率で参加者が広告掲示板を「見ている」ということはわかっています。


「見た」広告掲示板限定で結果を訂正すると、

運転のみのシュミレーションで見たはずの掲示板に対する正解率は50%

運転と携帯での会話のシュミレーションで見たはずの掲示板に対する正解率は24%です。


これって、先ほどのゴリラが見えていないのと同じだとは思いませんか?

「見た」はずのものを「見た」と認識していないなんて。


運転中の携帯電話はこの「非注意性盲目」を重症にしてしまいます。


なので、運転中の携帯はハンズフリーでも絶対にやめましょうね!

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