こんにちは、ヨーコです。


夏型過敏性肺炎は、トリコスポロンという家の中のカビが原因の病気です。

咳や発熱など、風邪と症状がよく似ているので間違われがちですが

放っておく慢性的になってしまい肺が弱くなり、さらには

ちょっとしたことで息切れをしたりと、呼吸困難の症状も出てきます。


今回は健康には良くないはずのタバコが、夏型過敏性肺炎発生を防ぐかもしれない

というお話を、熊本大学第一内科の有馬和子先生のチームの報告をもとにしたいと思います。



参考文献:
Arima K, Ando M, Ito K, Sakata T, Yamaguchi T, Araki S, Futatsuka M.
Effect of cigarette smoking on prevalence of summer-type hypersensitivity
pneumonitis caused by Trichosporon cutaneum. Archives of Environmental Health:
An International Journal.1992 Aug 1;47(4):274-8.


有馬先生のチームの研究では、2つのグループを比べています。

喫煙者 vs 非喫煙者:どちらが夏型過敏性肺炎になる?



グループ1:

夏型過敏性肺炎患者30人(男性9人、女性21人)

その患者と同じ環境にいたけれど無症状の家族22人

合計52人(22〜86歳、平均年齢47歳)


全体の喫煙者の数は11人で、その中の夏型過敏性肺炎患者は3人(27%)、

非喫煙者数は41人で、その中の夏型過敏性肺炎患者は17人(66%)でした。

つまり、非喫煙者の方が発生率が多いということになります!


そうすると、タバコ吸ってた方がいいような感じですよね。

ところが、配偶者が喫煙者である間接禁煙者と

配偶者が非喫煙者である非喫煙者を比べたところ、発生率に違いはありませんでした。


そして、52人中42人の血清抗トリコスポロン抗体を調べたところ、

喫煙者の陽性は8人中5人(63%)、非喫煙者の陽性は34人中31人(91%)でした。


こちらも、非喫煙者の陽性が圧倒的に多いですね。


夏型過敏性肺炎の喫煙者 vs 夏型過敏性肺炎の非喫煙者

グループ2:

夏型過敏性肺炎患者209人(男性70人、女性139人)

年齢:21〜86歳、平均年齢48歳。


このグループは全員が夏型過敏性肺炎の患者で、

このうち209人が喫煙者で、男性が34%、女性は4%でした。


さて、夏型過敏性肺炎患者の中での喫煙者率はこういった感じでしたが、

一般にはどうでしょうか?


10000人以上の人にアンケートを送った結果、

一般の人の男性の喫煙者は60%強、女性は10%強と、

夏型過敏性肺炎患者内の割合よりずっと多いことがわかりました。


これが何を意味するのか?

喫煙者は夏型過敏性肺炎になりにくいので、

患者の中の喫煙者数の割合が一般の喫煙者数より少ないと言いたくなる数字だと思います。


先ほどのグループ2に戻りましょう。

血清抗トリコスポロン抗体を調べたところ、全員が陽性でした。

ところが、喫煙者と非喫煙者の血清抗トリコスポロン抗体を比べたところ、

特に違いは見つかりませんでした。


夏型過敏性肺炎発生後は、

喫煙者か非喫煙者かはあまり関係ないのかもしれないという結果ですね。


母:じゃあ、夏型過敏性肺炎にかかりたくなければ、タバコを吸えばいいのね?

私:違う、違う!

母:じゃあ、何よ?

私:「なぜ」っていう部分がわかってないから、安易にタバコがいいって決められないの!

母:ふーん、そういうものなのね。

夏型過敏性肺炎のまとめ記事