こんにちは、ヨーコです。


せん妄と認知症、似ているけど、分かりやい違いの一つに、

せん妄は「適切な処理により症状は回復する」けれど、

認知症は「症状は回復しない」ということがあげられます。


ということは、せん妄なら、せん妄と診断してもらえば

次のステップ、治療へと進むことができるんです。



そんな診断ができるツールは存在するのか?


せん妄のテスト

ちょっと調べてみると、いろいろありました。

• CAM:Confusion Assessment Method
• CAM‐ICU:CAM for the Intensive Care Unit
3D‐CAM: 3‐Minute Diagnostic Interview for CAM delirium
• ICDSC: Intensive Care Delirium Screening Checklist
• DIL Delirium Index
• DOSSL Delirium Observation Screening Scale
• DRS-R‐98: Delirium Rating Scale, revised-98
• DSI: Delirium Symptom Interview
• MDAS Memorial Delirium Assessment Scale
• NEECHAML Neelon/Champagne Confusion Scale
• NuDESC Nursing Delirium Screening Scale


3D‐CAMに注目してみましょう。
診断項目を20項目に絞り、所要時間が3分と、ずいぶん手軽にできるようです。

しかし、もっと簡単に診断ができないかと考える人たちもいたのです。

Fick et al. (2015)

このチームは20項目でも多いとし、

この中からベストな1項目または2項目を選ぼうとしました。

研究の対象者

研究の対象になったのは201人の高齢者。以下の条件に合った人たちです。

(1) 75歳以上
(2) 一般、または老人医療のサービスを受けるために入院
(3) 英語でのコミュニケーションが可能
(4) 病気の末期状態ではない
(5) 2日以上のの入院を予定している
(6) 以前の研究への参加経験がない

せん妄の診断状況を把握

まずは、せん妄の状態をしっかりと診断しました。

45分の面接かけて、参照標準・ウォーキングスタンダードを把握します。

面接の内容:

(1)入院の理由や、認知機能に関する心配の有無
(2) 家族歴、社会経験、身体的機能の変異
(3) Montreal Cognitive Assessment (MoCA)

日本語版のMoCA MoCAに関する記事はこちらを!↓↓↓↓

認知機能を計るテスト、MoCA-Jの解釈(MoCAの日本語版)




(4) 老年うつ病スケール(Geriatric Depression Scale)
(5) Charlson併存疾患指数(Charlsn Comorbidity Index)を採点を含む、カルテのレビュー、
ADL IADL(基本的、手段的日常動作)の確認
(6) 患者さんの老化または基本的認知機能の状況を把握するため、AD8を含む家族へのインタビュー

AD8に関する記事はこちらを!↓↓↓↓

AD8:介護人を面接するアルツハイマー病などの認知症のテスト




以上のことをふまえ、

アメリカ精神医学会編『精神疾患の. 診断・統計マニュアル第 4 版』(DSM-4)に基づいて

せん妄の診断をするわけです。


念のために米国国立老化研究所(National Institute on Aging)と

Alzheimer 協会 (Alzheimers Association)(NIA-AA)に基づき、

認知症、または軽度認知症(MCI) の有無も見ています。

3D-CAM

さて、3D-CAMの20項目ですが、以下の通りです。

1.今日の日にち
2.今日の曜日
3.現在いる場所
4.3つの数字の逆唱
5.4つの数字の逆唱
6.曜日を逆から言う
7.月を逆から言う
8.訳が分からなくなったか
9.自分が病院にいないと思ったっか
10.幻覚があったか(ないものが見える)
11.意識がはっきりしていない
12.極度に用心深い・過剰反応する
13.理論的な考え方ができない
14.取り留めない会話
15.ボツボツとまばらな会話、言葉が途切れる会話
16.質問や指示が理解できない
17.気が散って、インタビューに参加できない
18.意識のレベルが一定していない
19.注意力のレベルが一定していない
20.会話のレベルが一定していない


結果

結果ですが、20項目の中で、せん妄かどうかを判断する一番信頼度の高い質問を

一つ選ぶとすると、「月を逆から言ってください」の質問になりました。

この質問一つでは、せん妄のある人をせん妄があると83%正確にに診断できました。

また、せん妄のない人をせん妄がないと69%、正確に診断できました。


もし、2項目と選ぶとしたら?

結果は、「月を逆から言ってください」の質問と

「今日は何曜日ですか?」の質問でした。


この組み合わせは、せん妄のある人をせん妄があると93%正確にに診断できました。

また、せん妄のない人をせん妄がないと64%、正確に診断できました。

まとめ

信頼性が検証されれば、時間も短縮できますし、質問される側の負担も少ないので

とても役立つ質問になりますね。


ちなみに、せん妄の疑いのある父に(私の勝手な判断)、この質問をしてみましたが、

両方とも、スラスラと答えていました。

私が父をせん妄かも?と思った記事はこちらを!!↓↓↓↓

ただの加齢かせん妄か?混乱する高齢者とその家族




入院とは関係ないということは置いといても、

やはり、せん妄ではなく、ただの加齢かな?、と思ったのでした。


参考文献:
Fick, D. M., Inouye, S. K., Guess, J., Ngo, L. H., Jones, R. N., Saczynski, J. S., & Marcantonio, E. R. (2015). Preliminary development of an ultrabrief two‐item bedside test for delirium. Journal of hospital medicine, 10(10), 645-650.