こんにちは、ヨーコです。


脳は複雑でとてもデリケートな器官です。

怪我や病気などで脳が損傷すると、

その場所や程度によって、様々な後遺症があります。


後遺症の種類に関して書いた記事はこちらをどうぞ!

↓↓↓↓

脳卒中の後遺症の種類:体、感情、認知機能




後遺症に以下のような種類があります。

  • からだへの後遺症
  • 感情への後遺症
  • 認知機能への後遺症があります。

今回は認知機能や感情へ障害、つまり高次脳機能障害についてまとめたいと思います。


高次脳機能障害

ここではまず、厚生労働省の定義する「高次脳機能障害」を見てみましょう。

「高次脳機能障害」は、一般に、外傷性脳損傷、脳血管障害等により

脳に損傷を受け、その後遺症等として生じた記憶障害、注意障害、

社会的行動障害などの認知障害等を指すものであり、

具体的には、「会話がうまくかみ合わない」、

「段取りをつけて物事を行うことができない」等の症状があげられる。

これらは、日常生活において大きな支障をもたらす場合があるが、

一見してその症状を認識することが困難であることなどから、

国民や関係者の間に十分な理解が得られている状況にはない。


引用元:高次脳機能障害支援モデル事業 中間報告書について 

平成15年4月10日

「一見してその症状を認識することが困難であることなどから、

国民や関係者の間に十分な理解が得られている状況にはない」
とありますね。


さて、その種類ですが、脳の複雑さを示すように、

高次脳機能障害には様々なタイプがあります。

  • 易疲労性:からだを使っていないのに、疲れを感じる。精神的に疲れやすい。

  • 失語:話すこと、話を理解すること、読み書きすることに障害が出ます。

  • 失行:手足にマヒはなく、動かすことはできるけれど、動作や行動ができなくなる。
    例えば、急須でお茶を入れられない。

  • 失認:感覚器に異常がないのに、目や耳などの五感を通じて
    まわりの状況を把握する機能が低下すること。
    例えば、テーブルの左側に置いてあるコップに気づかないのは、
    半側空間無視と言って失認の一種です。

  • 見当識障害:時間と場所の感覚がない、対面している人がわからない等。

  • 無気力・無関心:やる気が出ない、物事を始められない。
    例えば、顔を洗ったり着替えをする気力がなくなったりします。

  • 脱抑制・易怒性:すぐにキレる、衝動的な行動をとる。

  • 固執性: 一つのことにこだわる、修正がきかない。

  • 注意障害:ボーとしている、集中力がない。

  • 記憶障害:新しいことが憶えられない、記憶が保持できない。例えば、今日食べたランチ、
    今聞いたばかりの人の名前。

  • 遂行機能障害:物事を計画して実行することができない。
    例えば、料理の段取りが悪くなったりしますが、自覚がありません。


半側空間無視(Hemispatial neglect)

さきほどの、高次脳機能障害の中で失認という障害がありました。

ここでもう少し、失認の一つである、半側空間無視について説明したいと思います。


半側空間無視は、脳卒中や事故などで右脳に損傷が出たときに起こり

左側の空間を認識できなくなります。


特に中大脳動脈が損傷して、脳卒中になることが多いです。


中大脳動脈ですが、頭の後ろ側なんですが、下の動画の21秒あたりに出てきます。

場所を確認したい方はどうぞ!

(動画自体は、脳動脈瘤に関する約1分の動画です。)

↓↓↓↓




左脳が損傷し、右側の空間を認識できなるというパターンはあまりありません。

なぜかというと、左脳だけでなく右脳も右側の空間の情報処理に関わっているからです。


右の頭頂葉(困った!と、頭をかかえる場所です)に損傷が出たときですが、

左に位置する物が見えていないような行動が取られます。


ひどい場合には、お皿の左半分のおかずを残したり、顔の左側のメイクをしなかったり、

左の人や物にぶつかったりします。


左側の半側空間無視は、「記憶」の中にも起こります。

例えば、富士山を思い出しながら紙に書いてもらうとします。

そうすると、右側だけ描かれている、ということです。


軽度の半側空間無視の中には、消去現象と呼ばれる症状があります。

例えば、目の前にいる人が(医師)右の指を右頬の前で、

左の指を左頬の前で動かしたとしましょう。


消去現象のある人は、左右から同時に情報が入ってくるときは

左の物、つまり医師の右の指が認識できません。

なぜかというと、右からはいってくる情報に圧倒されるからです。


ところが、医師が、右の指だけ右頬の前で動かしていると

その指が左側にあるのにもかかわらず、その指を認識することができます。

なぜかというと、右から邪魔する情報が入ってこないからです。


なんとも、複雑ですね。脳の複雑さを反映しているように!


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